本記事は『アンダーガード・システム[崩しとコントロール]』の解説記事です。
これから購入を検討される方、すでに購入された方の復習用としてぜひお読みください。
- パスガードはされなくなったけど、スイープまでたどり着けない方
- 三角絞めなど上半身へアタックが得意だが、警戒されて通用しなくなってきた方
- ワンレッグX、X、ウェイター、70/30ガード、デラヒーバなど、足に絡む強力なガードを身につけたい

ブラジリアン柔術紫帯。noteにて「柔術哲学」ブログを運営。フローチャートを用いた教則の解説レビュー記事は40本以上。柔術も文章を書くことも好きです。
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講師紹介
グスタボ・オガワ
グスタボ選手は、メンデス兄弟率いる名門「AOJ(Art of Jiu Jitsu)」に所属する世界トップクラスの黒帯柔術家です。

茶帯ではIBJJF世界選手権を制し、2025年11月のIBJJF EAST JAPAN INTERNATIONAL OPENでも黒帯ライトフェザー級で優勝し、2026年1月のIBJJF ヨーロッパ選手権でも黒帯ライトフェザー級で優勝しています。
そして、2026年6月のIBJJF世界選手権似て黒帯ライトフェザー級にて3位入賞と言う結果を残しています。
グスタボ選手はボトムから、下半身をコントロールする強力なガードを駆使して世界のトップ選手相手にアタックを成功させています。
本教則では、それらの強力なガードへのエントリーをいろんなバリエーションで解説しています。
本編の解説に入る前に ~強いガードとは?~
この教則を見るうえで大事な前提をお伝えします。
まず、強いガードとは何でしょうか?
一定のスキルのある柔術はみなさんこう答えるでしょう。
「下半身をコントロールするガードは強い」
さらに言えば「相手の下に入るガード(アンダーガード)はめっちゃ強い」です。
これを教則を見る前に前提として知っておいて欲しいです。
よくある柔術の攻防としては
- ボトム側の選手「強いガード(下半身をコントロールするガード)を作りたい」
これに対して、トップ側の選手「足に触らせたくないから足を下げて前傾にしておきたい」という攻防がよくあります。結果的にトップ側の上半身が近くなります。
↓
- ボトム側の選手「足に絡むガードが作りたいが、触らせてくれない。そこでまずは上半身に絡むガード(ダブルスリーブのスパイダーやラッソー、カラー&スリーブなど)を作る」
↓
- そこからボトム側の選手はサブミッションやより強いガード(下半身をコントロールするガード)へのトランジションを狙う。しかし、相手も警戒しているので攻めきれない。
- お互いにこう着状態になる
レベルが上がり、お互いのレベルが拮抗するほど、この状況になりやすいのです。本教則では、3→4の悩みを解決するテクニックを学べます。


本教則の哲学(コンセプト)
私がこの教則から感じた大事なコンセプトは以下です
「崩しやサブミッションで相手に足を出させる」
下半身をコントロールする強いガードを狙っても、相手は警戒して足を遠ざけてられてエントリーできません。
そのため、いきなり足を触りにいくのではなく、まずは崩しか上半身へのサブミッションを狙って、相手がそれをディフェンスした結果相手の足が近くなるのでアンダーガードにエントリーできます。


以下の内容も大事なコンセプトとして教則内で説明されています。
グリップチェンジをせずに崩しを変える
相手を自分の両足の間に置く
ヒップスイッチ(腰を切る動き)をつかう
グリップは違ってもやること(コンセプト)は同じ
この箇条書きだけみてもピンとこないかもしれませんが、教則を見るとこれらのコンセプトの重要性がわかります。
内容解説&フローチャート
全編 02:09:41
1.イントロ
2.シントゥシンからワンレッグX
3.シントゥシンから反対側の足に潜る
4.シザースイープから反対側の足に潜る
5.シザースイープから近い足に潜る
6.2on1を使い遠い足に潜る
7.2on1を使い近い足に潜る
8.カラーアンドスリーブから遠い足に潜る
9.カラーアンドスリーブから近い足に潜る
10.袖をつないで崩し下に潜る
11.オモプラータのフェイントからデラヒーバフックを入れる
12.コンバットベースを蹴って崩しデラヒーバに入る
13.ベリンボロの回転を使い70/30
14.立ってきた相手にベリンボロを使い潜る
15.ベリンボロで崩せないとき反対側に崩し潜る
16.襟グリップを切られた後左右に崩して潜る
17.アンダーフックデラヒーバから崩して潜る
18.練習方法
19.デモンストレーション
内容解説&フローチャート
本作品の内容を上のチャプターから順に解説していきます。
①イントロ
(略)
②~⑦ ダブルスリーブからのアンダーガードエントリー
前半は両袖を取ったガードからのエントリーです。
ダブルスリーブは両袖を取っているので、相手から攻撃を受けない強い形です。

しかし体幹から離れた部分をグリップしているので相手の上体(頭の位置)を大きく崩すのが難しい形です。
上体を崩すための手段として、シントゥシンを使って足を浮かせる、シザースイープによって相手の腕を吊り上げる、2on1から腕を流す、などがあります。


2.シントゥシンからワンレッグX はこちらのYouTubeで無料で見れます。ぜひご覧ください。
⑧~⑫ カラー&スリーブからのアンダーガードエントリー
中盤は襟と袖を持った組手からのアンダーガードエントリーです。よくある対角の襟を持つ片襟片袖ではなく、正面の襟と袖を持つ組手です
襟は袖よりも相手の体幹に近い位置をグリップしているので、相手の上体(頭の位置)を動かすことがしやすいです。
襟を使って相手の上体を崩す動きや、脇フック(インサイドコントロール)を利用してオモプラッタや、脇をける崩しなどを使ってアンダーガードにつなげていきます。


⑬~⑰ デラヒーバからのアンダーガードエントリー
デラヒーバは下半身をコントロールする強いガードです。ですがしかし、相手の下に入る形ではないので解除されやすい欠点があります。
後半のチャプターでは、デラヒーバから相手の下に入ってより強いアンダーガードにつなげる形を紹介しています。
デラヒーバフック側(多くの場合相手の右足)の崩しからベリンボロを利用してもぐるテクニック、逆サイドへの崩しからのもぐり、袖グリップデラヒーバのコントロールと崩し、アンダーフックでラヒーバの崩し、を学べます。


⑱⑲練習方法、デモンストレーション
本教則のテクニックを身に着けるための練習方法と、総復習のデモンストレーションです。
復習に便利です。
本教則がオススメの方とその理由
①圧倒的な実績と指導歴、説得力
グスタボ選手ご自身の圧倒的な実績に裏付けられたインストラクションには説得力があります。
②トップ選手が使っている「つなぎ」の部分を学べる
トップ選手の試合を見ると華麗なアタックに目が行きます。でもその前に必ず相手をコントロールしたり崩したりといった部分があります。
ファーストガードエントリー
→強力なセカンドガードへのトランジション(移行)
→アタック(コントロール、崩し)
この「強力なセカンドガードへのトランジション」の部分を学べるのが本教則です。
この「つなぎ」の部分は「トップ選手が無意識にやっているテクニック」であることが多く、言語化してちゃんと解説されないことも多いです。
そのため「つなぎ」は扱っている教則が少なくて、その人の「穴」になりがちなパートです。強い選手はこの「穴」を見逃しません。
強いガードを持っていても、そこに持っていくまでの「つなぎ」がなければ実戦では使えません。本教則ではその「つなぎ」を強化してくれます。
③コンセプトを学べる=いろんな場面で応用が効く
教則内で繰り返し「個別のテクニックだけでなくコンセプトを学んでほしい」ということを言っています。
単語帳を覚えるようにたくさんのテクニックを暗記しても実戦では使えません。テクニックの背景にある本質(ロジック、仕組み、コンセプト)を学ぶことでいろんな場面で使えるようになります。

④グリップチェンジで隙を作らず、攻められる
前作の「レッグドミネーションパッシング」でもグリップチェンジをせずそのまま攻めるコンセプトがありましたが本作も同様です。
グリップチェンジはガードを失うリスクのあるムーブです。トップ選手の攻防ではグリップチェンジが隙になります。
ワールドクラスの選手と戦ってきたグスタボ選手の「グリップチェンジせず相手を崩す隙がないテクニック」「安全にグリップチェンジをするテクニック」は必見です。


⑤練習方法まで教えてくれる
最後のチャプターでは、教則内容を身に着けるための練習方法を解説しています。これを教えてくれる教則はなかなかないです。
紹介されている練習方法は、メンデス兄弟率いる名門「AOJ(Art of Jiu Jitsu)」でも採用されている内容とのことです。一緒にしているトップ選手が「グスタボオガワの教えてくれた練習方法がとても効果的だ」と言っているように非常に効果的です。

相性のいいテクニック・合わせて覚えたい技
・上半身をコントロールするガード
最初に書いた通り、いきなり相手の下半身にコネクトするのは難しいです。そのため、まずは一番手前にある袖か襟を持ってガードを作ることが多いです。
襟や袖を持つガードを磨くと、本教則のテクニックとうまくつながっていきます。
・足関節
本教則では相手の足にコネクトするテクニックが学べます。アンダーガードに入るだけでなく、足関節へのつなぎとしても使うことができるでしょう。
・ガードリテンション
ガードの順序は
①ディフェンス(ガードリテンション、エスケープ)
②コントロール(ガード)
③アタック
です。本教則は②の部分になりますが、そもそも①の段階をクリアしないと②の攻防にたどり着けません。
ガードリテンションについては同じグスタボ選手のこちらの教則や橋本選手の教則がおすすめです。
・アンダーガードからのアタック
相手の下にもぐる70/30、ワンレッグX、X、ウェイターガードは強力なガードです。これらのガードが得意な方はぜひこの教則を見てほしいです。まだ得意ではないという方もこの教則を見た人は合わせてこれらのガードも身に着けてほしいです。
使ってみた感想
・襟と袖の使い分けが大事!
本作品では、襟を使った崩しと袖を使った崩しを多数紹介しています。
襟は相手の上体(頭の位置)を下げることができるので、襟グリップを中心にあおったり、サブミッションを狙います
袖は上体のコントロールが弱いので、腕を流したり、足を使って崩します。
同じコンセプトでもこれらの特性の違いを意識しながらやると、崩しの精度が変わります。
袖グリップで強引に上体をあおろうとしたり、襟グリップで相手の手が自由な状況で不用意に足を持たせたりすると、チグハグな感じになりました。
・腰を切る動き(ヒップスイッチ)大事!
教則内で繰り返し説明されている腰を切る動きを意識的にすると崩しの威力やディフェンス力が変わります。
ついつい、腕力でグリップした部分を引っ張りたくなりますが、腰を切る動きをコンスタントに繰り返すことで自分の体重や足の力やフレームを有効活用できます。
・近い側の足の外側のアンダーフックが面白い!
よくあるアンダーフックは、右手で相手の左足の内側をすくう形です。
この通常のアンダーフックをスプロールで逃げられたあとに、近い足の外側のアンダーフック(右手で相手の右足の外側をすくう形)を狙うときれいに入れました。
本教則では
7.2on1を使い近い足に潜る
9.カラーアンドスリーブから近い足に潜る
のふたつのチャプターで紹介されています。

・ベリンボロの新しい使い方!
本教則では、ベリンボロをアンダーガードへのエントリーとして利用しています。
ベリンボロでバックを取り切るのは難しく、そもそもベリンボロを使わない人も多いですよね? しかし、相手の横~背中を取りに行くムーブ自体はバックテイク以外にも使えるのです。本教則ではベリンボロから相手の下にもぐるテクニックを紹介しています。
アンダーガードへの「エントリー」のためのベリンボロなら比較的簡単に成功できます。
また、普通のバックを狙うベリンボロだと、タイトに作らないとバックを取るのは難しいですが、このアンダーガードを狙うベリンボロなら完璧な作りでなくともエントリーにつなげられます。
うまく密着したベリンボロにつながらなくても、とりあえず回って下に入ってしまえば自分にとって有利な展開につながります。
ベリンボロを絶対の必殺技として使うのではなく強いガードにつなげる技として使う概念が新しかったです。
特にトップのバランスがいい相手だとこの形になることが多いです。

・ループから抜け出す!プランBをやる意識が生まれる!
柔術では、技Aを出す→対処Aされる→ニュートラル→技Aを出す→対処Aされる→・・・・のループがよく起こります。
これで時間やスタミナを消費してしまうと試合で勝てません。
グスタボ選手は本教則でも前作でも「ループを抜ける」という言い回しをしていますが、このコンセプトはとても勉強になります。
技Aを出す→対処Aされる→技Bを出す、
というプランBをする選択肢が生まれます。
同じ技を何度やっても防がれてしまう経験は誰にでもあるでしょう。そのループから抜け出すきっかけが本教則にはあると思います。
ループを抜け出そうと無理な動きをしたり、不用意にグリップチェンジすると逆襲されてしまいますが、グスタボ選手は、グリップそのままヒップスイッチや膝や足裏をうまく使うことで崩しの方向を変えてループを抜け出します。
すぐにはできませんが、「ループを抜ける」「一つの技に固執せずプランBを出す」という意識を持つだけで柔術が変わってくる気がします。

・相手を両足の間に収めると強い!でもフットロック注意!
本教則で説明されている「相手を自分の両足の間に収める」というコンセプトを意識するといろんなアタックが有効になります。これを無視してグリップで強引に引いても機能しないことが多いです。
ただ、スタンドベースの相手に不用意に脇に足を置くとトップからのフットロックを食らうことがありました。
しっかり襟袖のグリップで相手の上半身をコントロールすること、両足の間に入れること(片足だけ脇に置く形はよくない)を意識したらフットロックされづらくなりました。

まとめ
強いガードは作ってしまえば強力ですが、そこに入るまでが難しいです。
そのエントリーの部分を重点的に解説したのが本教則です。さらにアンダーガードへのエントリーを通して、ガードの崩しやコントロールといった大事なコンセプトも学ぶことができます。
本教則で学んだ崩しやコントロールの概念はアンダーガードのエントリー以外の場面でも役立つこと間違いなしです。
自身のガードを実戦的でより強力にしたい方、隙のないコントロールで相手をドミネートしたい方、ガードにおける重要なコンセプトを学びたい方、ぜひ本教則を見て柔術をアップデートしてください!
本や教則は「読みたい!見たい!」と思ったときが一番頭に入ります。鉄は熱いうちに打て!です。
興味を持った方はこちらからどうぞ!

