ディティールで差をつける! クローズドガード戦略-ビギナー&アドバンスド-|山本博斗

本記事は『クローズドガード戦略-ビギナー&アドバンスド-』の解説記事です。
これから購入を検討される方、すでに購入された方の復習用としてぜひお読みください。

※本記事ではクローズドガードを「クローズド」と記載します。

この記事がオススメの方
  1. クローズドの技を習ったけどスパーリングでうまくいかない方
  2. クローズドにエントリーできない、キープできない方
  3. クローズドが相手に対策されて通用しなくなってきた方
筆者紹介:安藤慎一朗(あんどうしんいちろう)

ブラジリアン柔術紫帯。noteにて「柔術哲学」ブログを運営。フローチャートを用いた教則の解説レビュー記事は50本以上。柔術も文章を書くことも好きです。

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まずはじめに。クローズドガードは強いガード。

本編に入る前にクローズドについて簡単に解説します。

クローズドは相手の胴体を両足で挟んだ形で、白帯から黒帯まで使われる攻守ともに優秀なガードです。

①ディフェンス力・コントロールが強い

クローズドの形をキープできていればパスはされません。サブミッションもされません。(袖車や突っ込み絞めなど一部例外はある)

②アタックが多彩で強い

サブミッション、絞め、スイープ、バックテイクなどいろんなアタックを狙えます。

クローズドは「下からマウントを取った」形なので、フィニッシュに直結するアタックが可能です。さらに相手の体幹を足でコントロールしているので崩しも強力です。密着して力を直接伝えて強力なスイープをしたり、腕を流してバックを取ることもできます。

クローズドのマイナスなポイント 対策も知られている

強いはずのクローズドですがその形に入ったら無双できるかというとそんなことはありません。

道場でのスパーリングでもクローズドに入れてもすぐ解除されてしまう、アタックしても簡単に防がれてしまう、という人は多いでしょう。

強力なクローズドですが、メジャーなガードゆえにそのディフェンスや解除方法も知られています。強力なガードでも対策を知られていると簡単にはアタックできません。

本教則はそんな「強いけど対策されて攻めきれないクローズド」を「わかっていても防げないクローズド」に進化させてくれる教則です。

選手紹介:山本博斗

兵庫県出身 / 1998年12月22日生。

Igloo所属。2021年IBJJF黒帯全日本優勝。2021年AJP World Pro3位。Vimeoにて柔術の教則動画を月1ペースで発売しています。初心者〜中級者をメインに地方に住んでいる方や更に技術のレベルアップをしたい人にもオススメ出来る内容になっています!

山本選手は日本一のクローズドガーダーといっても過言ではありません。

相手を崩し続けるクローズドガードは強力です。相手はクローズドを割ることができず、トップキープすら容易ではありません。そこから繰り出されるサブミッション、バックテイク、スイープも強力です

攻防一体の最強ガードです

本教則の哲学(コンセプト)

ビギナー編のコンセプト

「攻撃が最大の防御」

「崩しこそが最強ガードキープ」

「崩しこそが最強のエントリー」

クローズドガードの名手として知られる世羅選手が言っていました。

  • 「クローズドを使う上で大事なことはいくつかあるのですが、第一にまずクローズドガードをキープできることが肝心です」
  • 「クローズドガードから色々な技を仕掛けることで相手はそれを防がなければなりません。技の対処に追われるため、相手はクローズドガードを割る作業に集中出来なくなるので、結果キープすることに繋がるのです。これは私がベーシッククラスや白帯クラスで説明するときによく言うのですが、『クローズドガードから相手が割ってくるのを邪魔してください』と伝えます」

クローズドガードの基礎|世羅智茂(ブラジリアン柔術) 

また、同じくトップ選手の大柳敬人選手は

「相手を忙しくさせる」

という表現をされています。

「ガードキープ」と聞くと、相手のガード解除を防ぐディフェンスをイメージする人が多いかもしれません。しかし本教則のガードキープは攻めることで相手をディフェンスで忙しくさせてガードをキープします。

相手が攻めてくるのを守って後手に回るのではなく、こちらが攻め続けることで相手にガードを解除させないという攻撃的なガードキープです。

エントリーにおいても崩しからエントリーします。「ガードを作ろう作ろう」としても相手も警戒しているとガードに入れません。なのでまず崩しを入れてからエントリーを狙うことで成功率が上がります。

本教則では、相手を崩すことでクローズドにエントリーするチャンスを作ります。

アドバンス編のコンセプト

①「クローズドはディティールで差をつける」

マニアックなガードや技では「知っているかどうか」だけで差がつきます。

前述したようにクローズドは大体の技が知られているので「知っているかどうか」で差をつけることはできません。相手も対策を知っているので防がれてしまいます。

そこでディティールで差がつきます

本教則では山本選手の「分かっていても防げないクローズド」のディティールが解説されています。

強い人を見たときの「なぜあの人のヒップスローはかかるんだろう」「なぜあんな簡単にバックを取られてしまうんだろう」「なぜあの人のクローズドは割れないんだろう」の秘密がこの教則にはあります。

②「チェーンのように技をつなげる、コンビネーションで攻める」

アドバンス編では、ファーストアタックの2on1からのアームドラッグ(「3. バックテイク」)を起点にヒップスローやコムロック、糸通しに技を鎖のようにつなげていきます。

本教則の「バックテイク、ヒップスロー、コムロック、糸通し」のコンビネーションは山本選手が実戦で使ってきた強力なシステムです。

技の連携はクローズドガードに限らず非常に重要なコンセプトです。単なるテクニックだけではなく柔術全般における大事な考え方を学ぶことができます。

内容解説&フローチャート

ビギナー編

全編 00:41:05

  1. はじめに
  2. デラヒーバからのエントリー
  3. ハーフガードからのエントリー
  4. ガードキープのコンセプト
  5. クローズドガード割の対処(正座で襟とパンツグリップ)
  6. クローズドガード割の対処(サンパウロパス)
  7. クローズドガード割の対処(脇パンチ)
  8. クローズドガード割の対処(袖を持って立つ)
  9. おわりに
  10. デモンストレーション
アドバンスド編

全編 00:44:43

  1. はじめに
  2. がぶられた体勢からのエントリー
  3. バックテイク
  4. ヒップスロー
  5. コムロック
  6. 糸通し
  7. テクニックのコンビネーション
  8. おわりに
  9. デモンストレーション

本教則がオススメの方とその理由

①圧倒的な実績と指導歴、説得力

山本選手の実績に裏付けられたインストラクションには説得力があります。

全日本選手権を優勝したこともある山本選手のクローズドはまさに「日本一のクローズド」です。

②エントリー&キープが学べる

エントリーとガードキープはおざなりにされがちです。

テクニッククラスでも最初にさらっと説明するだけだったり、教則やYouTubeでもメインはアタックの部分だったりということが多いです。

しかし、実戦ではアタックの前に必ずエントリーとキープが必要です。

「必須だけどおざなりにされがち」な部分を学べるのは大きなメリットです。

③コンビネーションが秀逸

アドバンス編の技のコンビネーションが秀逸です。

腕を流されたらバックを取られる、

腕を引いたらヒップスローされる、

手をついたらコムロックされる

コムロックを防いでも糸通しが待っている

何をしてもやられてしまう最強のコンビネーションです。

④ディティールが素晴らしすぎる。

山本選手が「自分の好きな技を詰め込んだ」と作中に話しているように、技の随所にクローズドへの技のこだわりが見えます。

自分は本教則をみて

「自分が知っていると思っていたコムロックは全然違った。自分はコムロックのことを何も知らなかった」

「自分が知っていると思っていたヒップスローは全然違った。自分はヒップスローのことを何も知らなかった」

「自分が知っていると思っていたアームドラッグは全然違った。自分はアームドラッグのことを何も知らなかった」

となりました。

素晴らしすぎるディティール紹介

自分が感動したディティールをいくつか紹介します。

ハーフからのクローズドエントリー

作中で「ハーフで抑え込んできているときは相手は両手を上半身を抑えるのに使っているので足を抑えるのに手を使えないからクローズドエントリーのチャンス」という旨の説明をしていました。これは目からうろこでした。

このエントリーはいい形でのクローズドからスタートできるのもうれしいです

上体をフラットにさせない左手の使い方、膝を出すスペースを作る右手の使い方、相手の足をトラップする上の足の使い方などのディティールが最高です。

ガードキープ各種

4種類のガードキープを紹介しています。それぞれの割り方の弱点をつぶすディティールがすごいです。

・正座で襟とパンツグリップの割り方

→〇〇を抑えている手が弱点、ここを止める。

・サンパウロパス

→〇〇する手が弱点。その手をコントロールする

・脇パンチ

→両方抑えられると強い。片方だけ外せば問題ない。〇〇をして、相手の片方の脇パンチをズラす。

・袖を持って立つ

→立つときはあるタイミングで崩すチャンスがある。そこを逃さず、崩して立たせない。

ヒップスロー

ヒップスローと聞いて「打ち込みでは決まってもスパーじゃ決まらない」と思っている人はいないでしょうか。かつての自分がまさにそれでした。本教則を見るとそんな考えは一変するでしょう。

ヒップスローを出すべき相手の姿勢、アームドラッグとのコンビネーション、クロススリーブのヒップスローのグリップのポイント、起き上がり方、相手に〇〇を向ける、△△の高さを出す。

などなど、意識すると威力が倍増するディティールがてんこ盛りです。

コムロック

正面で極める山本選手の強力なコムロック。このディティールも本当に練られていて最高です。

普段なんとなくやっていた動作を一つひとつ見直すきっかけになりました。

肘の位置、手首のある使い方、横を向いて極めるときの上の足の使い方(膝を寝かすのではなく〇〇する)、巻いた手の襟を持つ位置などなど、感動します。

糸通し

糸通しといえば、そこからの三角くらいしか知らなかったのですが、絞めも左右の手も狙えることを初めて知りました。

足を通せないのは、足が短いとか体が固いからだけでなく相手との位置関係や手首のコントロールの甘さが原因だとわかりました。

糸通しからの多彩なフィニッシュ、通してない足の使い方、手首のコントロール、位置関係、などのディティールが最高です。

Screenshot

相性のいいテクニック・合わせて覚えたい技

・デラヒーバ

→デラヒーバはデラヒーバからクローズドにエントリーすることもありますし、逆にクローズドを立って割られたあとにデラヒーバにエントリーすることもあります。相性のいいガードの一つです。

・マウント

クローズドは「下からのマウント」の形です。マウントを研究することはクローズドの上達にもつながります。逆もしかりでクローズドの研究がマウントのテクニックの理解につながることもあります。

・前作「クローズドガード戦略 vs座 vs立」のテクニック

前作の2作もぜひセットで学んでほしいです。こちらも素晴らしすぎるディティールがいっぱいです。

前作のリスク低く攻められる十字絞めや必殺の腕十字、立たれたときのカウンタースイープやデラヒーバへのリカバリーなどのテクニックは最高です。

4本の教則のテクニックを組み合わせることでより強力なクローズドガードシステムが出来上がります。

技の組み合わせの例

「デラヒーバとクローズドのコンビネーション」

VS立では立ってクローズドを割られたときにデラヒーバにリカバリーする方法を紹介していますが、ビギナー編ではデラヒーバからクローズドにエントリーするテクニックを学べます。立って割られてもまた戻すことができます。

「立ってくる相手への2重3重の対策」

ビギナー編の立って割る相手へのキープ方法だけでも強力ですが、それを失敗してもVS立のテクニックがあればそこから展開を作ることができます。

「ファーストアタックを十字絞めに」

アドバンスド編ではグリップカットからの2on1のアームドラッグのバックテイクをファーストアタックにしていますが、VS座の十字絞めをファーストアタックにしてそこから袖をもらって2on1を取ったり、押してきた手を取って腕十字につなげたりといったセカンドアタックにつなげられます。

まとめ

クローズドガードは強いですが、対策もされやすいです。ただ技を出すだけでは簡単につぶされます。

まずは、キープと崩し、そこからコンビネーションでのアタックを一つずつ覚えることで強力なシステムになっていきます。

そして、技の「練度」を高めていくことが大事です。クローズドの「練度」を上げるには、ただやみくもに練習しているだけではだめです。

本教則はクローズドの「練度」を上げるディティールが詰まっています。

「練度」を上げて、「わかっていても防げないクローズド」を身に着けたい方にぜひ見てほしいです。

本や教則は「読みたい!見たい!」と思ったときが一番頭に入ります。鉄は熱いうちに打て!です。興味を持った方はこちらからどうぞ!