柔術のガードは種類が多く、そのガードごとにパスガードを覚えるのは大変です。今回はグリップをカット(ノーグリップ)から相手にガードを作らせずパスガードを狙える方法について解説します。
ブラジリアン柔術青帯。noteで「柔術哲学」のブログを書いています。フローチャートを用いた教則の解説レビュー記事を20本以上書きました。柔術も文章を書くことも好きです。2023年全日本マスター柔術オープン青帯階級別優勝、2023年全日本柔術選手権青帯階級別3位
- クラスで教わったパスガードを使いこなせない
- 試合で使える実戦的なパスガードを身に付けたい
- かっこいいステップやジャンプパスガードの秘密を知りたい
選手紹介
■ 大浦マイケ
生年月日:2001年5月15日
出身地:静岡県
戦歴:
・第24回全日本ブラジリアン柔術選手権 黒帯ライト級優勝
・第23回全日本ブラジリアン柔術選手権 茶帯ライト級優勝・無差別級優勝
・ソウルROYALトーナメント階級・無差別王者
発売後インタビュー
ーーどんな思いで撮影にのぞみましたか?
撮影させてもらえると決まった時は嬉しさと不安がありました。僕自身は教則を買ったことがなく、トップ選手の試合を何回も見て技を盗んできました。はたしてみんなが買ってくれるのか? という不安がありました。
ちょっと前まで居酒屋と現場で仕事してた僕の教則を誰か買ってくれるんだろうかと(笑)。
ーー購入者へメッセージをお願いします。
購入してくれた、皆さんありがとうございます!
東京に来て5年目になるのですが、仕事をしながら選手練に参加してきました。
「いつか柔術で食うぞ!」と目標に作り出したのが今回のパスガードとラッソーガードの教則です。なので、とても思い出がある技になっています。
僕の教則はカッコよく勝つためにたくさん練習してきたものをまとめています。この技を全日本柔術選手権(黒帯)の試合で出して、無事に優勝できました。柔術のお仕事がもらえるようになったきっかけとなった作品です。
同時期にリリースした『ラッソーガード編』と合わせて、是非チェックしてもらえたら嬉しいです。
内容紹介 (フローチャート)
- コンセプトとシッティングガードパス
- クロスグリップパス
- オープンガードパス
- マイケ式レッグドラッグ
- マイケパス
- 総集編
マイケ選手のパスガードのコンセプト、メリット
コンセプト
教則を見て自分が感じたマイケ選手のパスガードのコンセプトは
①「フリーの状態からアタックする」
②「力でなく体重を利用する」
です。
①「フリーの状態からアタックする」
冒頭のコンセプトの説明で、マイケ選手は「まずグリップをひとつひとつ解除してフリーの状態を作ることを意識している」と言います。
ガードの数だけパスガードを覚えるのは大変ですし、パスガードひとつひとつの精度も下がります。フリーの状態からアタックするスタイルにすれば、たくさんのパスガードを覚える必要がなく精度も上がります。
いろんなパスガードを習ったけど使いこなせていない方には、この教則のコンセプトは革命をもたらすかもしれません。
フリーの状態を作って攻めるメリット
・相手によってパスガードのスタイルを変える必要がない。
・たくさん覚えなくていい。
・技を絞れるので迷わない、精度が上がる
②「力でなく体重を利用する」
教則内でたびたびマイケ選手は「力を入れない」「体重を使う」と説明しています。華麗で強力なマイケ選手のパスガードは力に頼ったものではなく体重をうまく利用したものだとわかります。
とはいえ「力を使うな」と言われても力が入ってしまうのが柔術です。
どうすれば体重を使った身体操作ができるのでしょうか?
力ではなく体重を使うメリット
・バランスを崩しづらい
・自分のスタミナを温存しながら、相手を削れる
・筋力以上のプレッシャーをかけられる
・手で体重をかけると足が軽くなるのでステップやジャンプができる
本教則がオススメの方
①初心者の方
・たくさんのガードへの対処をまだ習っていない
・試合で使える実戦的なパスガードを身に付けたい
・スタミナがすぐに切れてしまう
②中級者以上の方
・従来のコンセプトと異なるパスガードを試したい
・いろんなパスガードを教えてもらったけど使いこなせない
・力任せとよく言われてしまう
相性のいいテクニック・合わせて覚えたい技
<教則内で紹介されている技>
・グリップカット
→前半のコンセプトの説明の際にひとつひとつグリップカットをしてフリーの状態を作る重要性を伝えています。
<教則内で紹介されていない技>
・近距離系パス、密着系パス、ハーフパス
→本教則では、グリップを切ってフリーの状態からアタックする遠距離パスをメインで紹介していますが、実戦だとパスガードの途中でハーフや足のフックにつかまってしまうことも多いです。
本教則のパスガードだけでも強いパスシステムができますが、こちらの教則のような近距離パスも合わせて身に付けるとより有効なパスシステムになります。
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実際に使ってみた感想
普段のスパーでも試合でも、相手のグリップを放置して雑にアタックして止められたり、カウンターを受けてしまう場面が多かったです。本教則のエッセンスを意識してグリップをひとつひとつ解除してアタックする様にしたらカウンターを受けることが減りました。
私のよるあるミスですが、フリー(ノーグリップ)の状態からなんとなく距離を詰めて相手にグリップされてガードを作られてしまい、後手に回ることがよくありました。本教則でフリーの状態からのアタックを知れたので先手を取って攻めることができるようになりました。
先手をとると相手にいいところを持たれないので相手はスタミナを消費して、こちらはスタミナを温存できてなおかつ攻め続けられるので有利にトップゲームを展開できます。
個人的に好きなテクニック
2.シッティングガードパス、のセットアップ(組手と姿勢と体重のかけ方)
相手が座っているときはとりあえず寝かせて、、、といった形で攻めていたのですが、本教則では全く知らない形のコントロールが載っていて目からうろこでした。
シッティングガードは寝ている形とは別の攻め方ができるとわかりました。強引に攻めるのではなく相手のリアクションと自分の体重を利用するのでタイミングよく使えば全然力を使わずにパスできます。
5. マイケ式レッグドラッグのエントリー
レッグドラッグの「あるある」な防がれ方を解決してくれるレッグドラッグのエントリーが面白かったです。スパーで試したらうまく入れました。
6. マイケパス
珍しい形ですが、実際試したところ、カウンターもされづらく相手も慣れてないので決まりやすかったです。教則内でマイケ選手は「このパスは使い手や相手を選ばない」と説明しており、腕の長さや階級やスタイルを問わず使える強力なパスガードだと思います。
まとめ
マイケ選手の試合を見て「あんなパスができたらいいなー」と思った人は多いと思います。本教則にはその秘密が載っています。しかもそれは力に頼ったものではなく、体重をうまく利用するものです。この教則を見れば力任せではないマイケ選手の華麗なパスガードの秘密がわかります。
もちろんタネが分かってもマジックができないように、この教則を見るだけではマイケ選手のようなパスガードができるようにはなりませんが、ただ何も考えずにスパーをやるよりもこの教則を見て練習した方が上達が早くなるでしょう。
また、本教則はテクニックだけでなくマイケ選手のパスガードの考え方や柔術哲学に触れることができます。マイケ選手のパスガードのエッセンスを自身の柔術に取り入れて、柔術のトップゲームを楽しんでください!