【グラップリング初心者必見!】最初に押さえる足関節ポジション3選

筆者紹介:和田拓也(わだたくや)

日本一足関節が取れる哲学専修ノーギグラップラー。ノーギ歴約10年で今成正和選手公認足関節弐段。日々世界のグラップリングの大会や技術トレンドを追っています。noteでグラップリングのテクニック、海外トレンドを発信。
XInstagram

はじめまして、今回よりBJJ LABにて記事を担当する和田拓也です。

これまではnote(https://note.com/dmaggot666)にてdmaggotというHNでグラップリングに関するさまざまな記事を書いていました。引きつづきBJJ LABでもディープで役に立つ記事を書いていきます!

最初に覚えるべきは足関節のポジション

ギ(着)ありの柔術家にとってノーギ(グラップリング)のハードルになっているのが、足関節だと思います。ノーギから入った人でも理解が難しく、習得に時間がかかると言われます。

足関節がわからない、わからないところがわからない、どうエスケープするのかわからない、怖い、ノーギやめておこうかな……ではないでしょうか?

足関節は適切な順序で覚えていけば自然と身についていきます

最初に覚えるべき足関節のテクニックは「ポジション」です。ポジションを覚えると、足関節全体の理解ができ、エスケープはもちろん、極めやエントリーもスムーズになります。

本記事では、高橋サブミッション雄己選手の『ヒールフックの教科書』を参考に、最初に覚えるべき足関節の基本の3つのポジションを紹介します。

1. 50/50

(『ヒールフックの教科書』高橋サブミッション雄己 17:00より引用)

最初のポジションは「50/50(フィフティ・フィフティ)」です。ギありでもたまに見られるポジションで、両者全くの互角で右足なら右足、左足なら左足が絡んでいる状態です。

双方の足がクロスしているのですぐに極めることはできませんが、相手の足を解き、有利な態勢を徐々に作って他のポジションに移行すればインサイドヒールフックなどを極めることができます。選手によっては他のポジションよりここからの攻めが得意だったりします。

50/50で起こるミスは、攻めることに集中してしまい、自分の守りが浅くなってしまうことです。 自分の足はしっかりとクロスして、まずは極められないようにしましょう。

有利度合いとしては名前の通りイーブンの5:5。

ただし、自分の足だけクロスできていないと一気に危険性が増すので、うまく攻めるか逃げるか考えながら展開を作ってみましょう。

2. サドル

次は有名な「サドル」です。他にも「インサイドサンカク(Inside Sankaku)」、411、ハニーホール(Honey Hole)などさまざまな呼び方がありますが、今回は最も一般的なサドルを使いたいと思います。

(『ヒールフックの教科書』高橋サブミッション雄己 00:46より引用)
(『ヒールフックの教科書』高橋サブミッション雄己 00:51より引用)

相手の片足を上から外掛けのように絡めて捉えたポジションです。ギありだと「外掛け(ニーリーピング)」として禁止になりやすく、ノーギグラップリングならではのポジションと言えるでしょう。上記の画像のように、下側の足は展開に応じて伸ばしたり立てたりします。

少し前のノーギグラップリングシーンで頻出したポジションで、サドルを取られると高い確率でインサイドヒールフックを極めやすいです。また、サドルを取られている側は基本的に攻めようがありません。足関節を極めたいならとりあえず目指したいポジションです。

サドルから実際に起こる攻防について、『ヒールフックの教科書』から一部抜粋します。

近年はここからのエスケープテクニックも発展してきましたが、深く取られてしまうと非常に危険なポジションです。

有利度合いは8:2。とりあえず「取り得」なポジションです。

3. DOA(Double Outside Ashi)

最後に私がおすすめするポジションが、「DOA(Double Outside Ashi)」です。

やたら名前がかっこいいですが、直訳すると両方が相手の外側に出ている状態を指します。

他には「Outside Ashi」や「ストレート50/50」とも呼ばれます。一般的な知名度やわかりやすさ、そしてカッコよさを考慮して、今回はDOAという名称を選びました。

(『ヒールフックの教科書』高橋サブミッション雄己 26:27より引用)

相手の足が自分の腰左右に分かれていて、自分の足だけクロスできている状態です。

ギありの柔術でも有効なポジションで、アウトサイドヒールフックやフットロック、さらにはトーホールドなどさまざまな極めが実は可能です。

前述の通り、近年は2つ目のサドルに対する対策が進んできて、現在はこのDOAがプロシーンでも注目されている、と私は考えています。

DOAを取っていても逆に極められたり上からプレッシャーかけられたりバックを取られたり、カウンターをされる可能性はなきにしもあらずですが、基本的にDOAを取っている側が有利と言えるでしょう。

有利度合いは7:3。適切な対処をしつつ攻めればカウンターを取られる可能性も低く、極めまでもう二歩弱と言えるでしょう。

まずは防御の心得

足関節の3つのポジションを紹介しました。

何事もいきなり詰め込んではパンクするので、わかりやすいものから焦らず着実に、少しずつ習得していくのが大事です。

足関節に慣れていない方は、まずは防御から覚えましょう。

以下のように覚えておきましょう。

防御の心得

50/50:両方互角。とにかく足を組んで防御しておきましょう。

サドル:取られたら超危険。ヒールフックを狙われる可能性が高い。すぐに逃げてください。

DOA:サドルよりは安全ですが、危険です。相手の次の一手によって、複数の足関節技を狙われます。逃げる、または50/50に戻しましょう。

限定スパーで練習しよう

仕組みを覚えたら、ジムの仲間に協力してもらいながら、限定スパーでポジションの打ち込みなどはいかがでしょうか! この3つのポジションからスタートして、交互に防御・攻撃を繰り返します。おすすめです。

今回紹介した高橋サブミッション雄己選手の『ヒールフックの教科書』では、今回の3つのポジションのほか、50/50の攻防についても解説されています。ぜひ参考にしてみてください。