【タイトなプレッシャーでニーシールドを解除する】ジエゴ・エンリケ

二ーシールドは試合で頻出するガードです。膝(ニー)で作るフレームは強く、さらに腕のフレームも有効活用してパスガードを止めてきます。

ニーシールドを突破できない悩みは誰もがお持ちではないでしょうか? 本教則では強いニーシールドでも確実に突破できるテクニックを学べます。

2023年9月に開催された、ジエゴ・エンリケ先生の「ニーシールドパス」セミナーとそれを収録した教則作品について解説します。

筆者紹介:安藤慎一朗

ブラジリアン柔術青帯。noteにて「柔術哲学」のブログを書いています。フローチャートを用いた教則の解説レビュー記事を20本以上書きました。柔術も文章を書くことも好きです。2023年全日本マスター柔術オープン青帯階級別優勝、2023年全日本柔術選手権青帯階級別3位

この記事がオススメの方
  • 二ーシールドハーフがパスできない人
  • 密着系パスを学びたい人
  • パスのバリエーションを増やしたい人

近距離の密着系パスを得意とする人はもちろん、遠距離系のオープンガードパスを得意とする人でもこの教則はおすすめです。なぜならオープンガードパスをディフェンスされたときに起こりやすい形がハーフ(二ーシールド)だからです。

遠距離系のパスを得意とする人がニーシールドパスも身につけると、バリエーションが増えてより強力なトップアタックができるようになります。

(本作は2023年秋、リバーサルジム横浜グランドスラムで開催されたセミナーを動画化したものです)

■講師:ジエゴ・エンリケ

戦績
ASJJF ランキングサーキット東京 優勝(黒帯フェザー級 2021)
JBJJF全日本ブラジリアン選手権 優勝(黒帯,フェザー級,2021) 
IBJJF アジア選手権 優勝(黒帯,ライトフェザー級,2019)5連覇中
IBJJF 世界選手権3位(茶帯,フェザー級,2019)
IBJJF ヨーロピアン位(茶帯,フェザー級,2019)
茨城県/ 1997年1月21日生(2024年5月時点で27歳)。その実力により数々のタイトルを獲得。分かりやすいインストラクションやキッズ指導にも定評がある。

内容紹介 (フローチャート)

  1. 1.(00:00-)ニーシールドパスポジションの作り方
  2. (04:00-) ロングステップパス
  3. (08:45-)クロスグリップパス
  4. (13:16-)スマッシュパス
  5. (19:27-)フレームの壊し方/逆サイドに回ってバックテイク
  6. (23:50-)下の足を抜かれた場合の対応
  7. (27:58-)総復習
  8. (29:36-)Q&A

※時間は教則動画のタイムレコード

※フローチャートの右左の表記は作中に合わせて自分の右足に足を絡まれるハーフガードを想定してます。

構成は、

  • セットアップ(約4分)
  • 各パスガード(約24分)
  • 総復習、Q&A(約12分)

各項目で大事なポイントを丁寧に説明してくれて非常にわかりやすいです。この二ーシールドパスのテクニックはジエゴ選手があのカイオ・テハ先生のジムへ修行にいった際に教えてもらって武器にして使っているテクニックとのことです。

(カイオ・テハ:世界王者に何度もなったレジェンド柔術家で、橋本知之選手も師事)

説明している様子

二ーシールドパスのコンセプト、メリット

コンセプト

教則を見て自分が感じたジエゴ選手の二ーシールドパスのコンセプトは

「プレッシャーを途切れなくかけ続ける」

です。

動画内で「スペース」「体重」「プレッシャー」「タイト」という言葉がよく出てきます。このニーシールドパスの肝となるのがプレッシャー(体重)をかけることです。

プレッシャーをかけ続けることで相手はリテンションもカウンターもできず、スタミナを消耗します。

従来のニーシールドパスとの違い

教則内で説明されているように従来の二ーシールドパスでよく使われるレッグウィーブパスでは下の足を戻されてリカバリーされる場面がよく見られます。

レッグウィーブパスとは

相手のお尻の側から両足の間に手を差し入れて、下側の足をコントロールするパスガード。

DEEP HALF CLUB『圧力が強過ぎるレッグウェーブパスについて解説した
教則動画の紹介

BJJ LAB LOUNGEから井手史竜先生(CARPE DIEM KURUME)の『レッグウィーブパス』の教則動画を販売しています。ぜひ今回のジエゴ・エンリケ先生のニーシールドと合わせてご覧ください。

レッグウィーブパスも有効なアタックであることは間違いありません。ただし、バーピーして下がってしまうと、相手がリカバリーするスペースが生じてしまいます。

本教則のテクニックは相手にスペースを作らせることなくリカバリーを完全にシャットダウンしたパスガードが可能となります。

プレッシャーをかけている様子

ジエゴ選手のニーシールドパスの特徴(メリット)

  • 従来のニーシールドパスと異なり、相手にプレッシャーをかけ続けているので、際(キワ)で戻されない
  • 相手の両足と上半身を制しているのでカウンターのリスクが少ない
  • ニーシールドハーフは頻出のガードなので汎用性が高い。自分からエントリーして使うことも、流れでこの形になった場合に使うこともできる
  • 体重を使うパスでスタミナ消費が少なく、相手のスタミナを削ることができる。

ニーシールドパスがオススメの方

  • トレアナなど走る系のパスを狙って相手のハーフに捕まってしまう
  • プレッシャー系の抑え込みやパスが得意な方
  • ハーフでカウンターのスイープをやられてしまう方
  • 瞬発的に動きが苦手な方、マスター世代
  • 組手を作ってじっくり攻めたいタイプの方

本教則のニーシールドパスはしっかり組手を作って相手を制してからアタックする技なのでリスクが少なく、重量級・軽量級問わずだれでも取り組みやすいです。重量級ならば体重を利用してプレッシャーをかけられます。一方、軽量級では、軽量級の選手に多い足の効くガーダーに対して有効です。リーチや瞬発力が必要ない点もオススメです。

相性のいいテクニック・合わせて覚えたい技

<教則内で紹介されている技>
ニーシールドパスへのエントリー
→教則内ではQ&Aにてデラヒーバからのエントリーとリバデラからのエントリーを紹介。短い説明ですが、デラヒーバとリバデラのトップのコツが分かりやすく説明されています。

<教則内で紹介されていない技>
・バックテイク
→パス際に相手が背中を向けてきたときにエスケープされないようバックテイクできるようにしたい。

実際に使ってみた感想

レッグウィーブパスではスペースができてしまい、エビの強い人や膝を引き付ける力が強い人からパスを取り切れないことが多かったです。

本教則のニーシールドパスのセットアップを作ると相手の動きをしっかり制御できるため逃げられる場面が減りました。また、体重を利用したプレッシャーのかけ方もハマりました。自分は疲れない。だけど、相手はスタミナを消耗している。非常にしっくりとした感覚がありました。

個人的に好きなテクニック

・ロングステップの腰の切り方
→従来の上抜き(うわぬき)の腰切の動きのロングステップではスペースが空いてしまいます。ジエゴ選手が紹介するロングステップは、スペースを作らずタイトにパスできるため非常に勉強になります。

・クロスグリップパスの頭の位置
→これも相手とのスペースを空けないためのテクニック。クロスグリップパスはフレームを入れられてパスできないことが多いですがこの頭の使い方をすると相手のフレームを無効化してパスすることができます。

・各パスの使い分け
→Q&Aで説明していました。ジエゴ選手のパスの使い分けの基準が参考になります。具体的な使い分けと感覚的な使い分けの2つを説明しています。

まとめ

「ニーシールドになったときにどんなアタックをしますか?」と言われて自信を持って返答ができる人は少ないと思います。
「とりあえず解除してハーフにする」
「レッグウィーブパス一択」
「いけたらニーカットパス」

といった人が多いのではないでしょうか。

他の人がなんとなくやっているニーシールドパスの攻防を突き詰めれば差別化できます。

ニーシールドパスを体系的に学べる教則は日本語ではこの教則のみです。ぜひこの教則でニーシールドパスを身につけてライバルに差をつけましょう!

パスをレベルアップしたい全ての方にオススメの教則です!