今の方が柔術が楽しい
僕は20代の頃、カルペディエム三田で代表を務め、インストラクターとしても日々指導していました。
とにかく日々必死に、どうやったら会員さんが増えるか、継続してもらえるか、スタッフがいい環境で働けるか、業務効率を上げる方法はないか、など模索していました。
そして現在は、トライフォース赤坂、Me,Weの一会員として柔術を楽しんでいます。
結論から言うと、シンプルに今の方が柔術は楽しいです。

「柔術をする立場」と「道場を回す立場」
代表をやっていた頃、頭の中にあったのは、
- 会員数の増減
- スタッフの給与やシフト
- 売上と支出のバランス
- 業務が滞っていないか
- クレームやトラブル対応
- クラスでのテクニック内容
- スパーリングでの怪我防止
といったことが大半でした。
もちろん、指導は好きでしたし、成長していく会員さんを見るのは嬉しかったです。
でも正直に言うと、「純粋に柔術を楽しむ時間」よりも、「どうやったら円滑に運営できるか」を考える時間の方が圧倒的に長かったと思います。
いま振り返ると、あの頃の自分は、柔術を心の底から楽しめていませんでした。
立場上、当たり前ですが、「会員さんに柔術を楽しんでもらう」「スタッフが働きやすい環境を作る」、この二つが最優先事項でした。
その中でも自分の練習をしたり、試合に出たりしていました。
練習や試合の日ですら、強くなることや勝つことよりも、会員さんが怪我していないか、業務がちゃんと回っているかなど、円滑に道場の運営をすることが第一優先でした。

一会員に戻って、気づいたこと
今は代表でもなければ、責任者でもありません。
ただ一人の会員として、会費を払って柔術を楽しんでいます。
- 会員数を気にする必要もない。
- 売上も人件費も考えなくていい。
- スタッフの業務のことを考えなくていい。
- クラスが終わったら、そのまま帰っていい。
「クラス前にこのテクニックを指導しよう」ではなく、「スパーリングではこのテクニックを試そう」と、純粋に柔術を楽しめています。
クラスが終わってから、掃除や洗濯、その日の会員さんの入会・退会・休会のチェック、日報確認などをやらず、すぐにシャワーを浴びて帰れます。
シャワーを浴びながら、「今日はこれが上手く行ったな」とか、帰り道で「次は、あの人にこのテクニックを使ってみよう」とか考える余裕があります。
この6年間では、考えられないひと時です。

好きなことを仕事にする、という現実
よく「好きなことを仕事に」と言いますが、現実的には仕事にした瞬間、そこには必ず「利益を生む責任」が生まれます。
場所を維持するために家賃が必要で、1人で全てやるのは難しいので働く人の給与が必要、水道や光熱費も毎日かかります。ティッシュ、トイレットペーパー、テーピングなどの消耗品も、トータルすると案外かかります。
好きなことを、好きなように好きなだけやっていいわけではありません。
僕は20代で、
- 柔術インストラクター
- 代表
- 経営者
この全部を一通り経験しました。
これは間違いなく、今の自分を支えている貴重な経験です。
同時に、「会員として柔術を楽しむこと」も、今になってはっきりわかりました。
会員として道場に通う方が楽しい。
これは事実ですが、「代表が大変」「経営は損だ」という話ではありません。
どちらの立場にも、それぞれの価値と学びがあります。
立場が変わると、見え方も楽しみ方も変わる。
それもまた、柔術の楽しみの一つだと思います。

竹浦は柔術道場をやるのか
ありがたい事に、いろいろな方に「道場出してください!」とか「お金は出すから道場やりませんか?」といったお誘いをたくさんいただいています。今のところ、全てお断りしています。
指導も好きだし、柔術道場のコミュニティーの良さも、先日TATORUに行き、改めて感じました。
しかし、道場運営がどれだけ大変かを経験しているので、気軽にやろうとは思えません。
やるからには、色々な事を犠牲にしなければいけない事は、自分がよくわかっています。
正直、今の自分のスケジュールの感じだと、難しいです。
なので、今は他の事業や自分しか出来ない事業に集中し、資金を貯めて、余力が出たタイミングで一緒に働いてくれる人を集めて、何かしらの形でやろうかな、と思っています。
やはり、毎日自分が指導して、運営して、という形はやり切ったので無理です。
もしかすると、気が変わってすぐにやるかもしれないし、やっぱり、ずっとやらないかもしれない。
とりあえず、今は会員として、柔術を始めた時のような感覚で、純粋に柔術を楽しみたいと思います。


