柔術のクラスでセミナーでテクニックをレクチャーするとき、競技の性質上、レクチャーしたい技を受ける「アシスタント」の役割をする人が必要です。
アシスタントは誰でも良い訳ではなく、「レクチャーするインストラクターに近い階級・体格であること」「技の手順を円滑に進めるべく、技術の知識が一定以上であること」などが求められます。
このアシスタントを、BJJ LAB制作チーム内では「受け手」・「受けの方」などと呼んでいます。
教則動画を撮影させていただく講師の方にご連絡する際も、基本的には「受け手」で意味が通じるので、この呼び方は広く一般にも使われるものだと考えられます。
柔術のクラス同様、教則動画においても受け手は必要です。
さらに教則動画の主役である講師の方とほぼ同じ時間に動画内に映る、大切な「出演者」であり、受け手の方の個性は教則動画に花を添える大切な要素です。
本コラムでは、2025年にBJJ LABでリリースした20本の教則動画(BJJ LAB Videos, BJJ LAB Lounge)から、「作品内で存在感を示した受け手」をいくつかの視点で審査し、「受け手・オブ・ザ・イヤー」を筆者の独断で決定させていただきました。
BJJ LABスタッフ(教則映像、YouTube制作)。今年発売の教則映像20本のうち12本の制作を担当。ブラジリアン柔術青帯。得意技はクローズドガードから崩しゼロの居合ヒップスロー。
「受け手・オブ・ザ・イヤー」は、3部門あります。
最多出演賞:下前快喜さん
- 岩本健汰『スプリットスクワット&ノースサウスパス』
- 岩本健汰『ベーシック足関節:アタック&ディフェンス』
- カウアン・タニノ『ワールドクラス・ガードシステム:オフェンシブガード』
- カウアン・タニノ『ワールドクラス・サブミッション:腕十字のすべて』
- カウアン・タニノ『ワールドクラスパスガードvol.2』
- ソン・ウォンジェ『フットロックセミナー』
BJJ LABスタッフであり、今年から「MeWe Fight Sports Club 目白」の代表に就任した下前さん。
今年リリースした教則動画のうち6本(割合にして3割)の受け手を担当していただきました。 出演本数もさることながら、下前さんの特筆したい点は「気遣い」にあります。カメラを意識した体の向きを変えたり、必要に応じて体勢を変えるなど、見やすい動画の制作に貢献していただきました。


来年も多くの作品に出演していただけることを期待しております。
素晴らしい気遣いを披露していただいた下前さんは「MeWe Fight Sports Club 目白」で代表を務めています。
指導もとてもわかりやすいのでぜひ一度行ってみてください。
講師に大人気賞:比家秀晃さん

- 大柳敬人『デラヒーバ再構築』
- ホベルチ・オダ『オーバーアンダーパスシステム』
ARTA BJJ 広尾所属のインストラクターから、大柳敬人さんとホベルチ・オダさんの教則動画をリリースしました。
なんとご両名とも比家さんをご指名での出演となりました。
独特の風貌でインパクトのある比家さんですが、撮影は真摯にご対応いただきつつ、持ち前の明るさで撮影現場を和ませてくださいました。


比家さんをSNSに投稿すると、すかさず橋本知之さんがシェアしてくださいます。 このことからも、比家さんがいかに道場で愛されているかが窺い知ることができます。
そんな比家さんは教則動画解説記事のライターとしてもBJJ LABにご協力いただくことになりました。
インストラクターの目線で重要ポイントをピックアップされています。
来年も受け手・ライターとして存在感を示していただけること期待しております。
息の合った師弟関係賞:伏見達之介(タツノスケ)さん

- 岩崎正寛『三角潰しの法則』
- 岩崎正寛『ハーフガードスクランブルの攻略〜ニーツイスト&ドッグファイト〜』
- 岩崎正寛『ハーフガード完全攻略法』
第1作目の『ハーフガードの原理原則』以来、岩崎正寛さんの全ての教則で受け手を担当されているタツノスケさん。
教則動画ではDEEP HALF CLUBでのコミカルなキャラクターは封印し、無駄の無いキビキビとした動きで受け手をされている姿が印象的です。
普段から共に選手練をされ、タツノスケさん自身もハーフガードを得意とされていることもあり、多過ぎず・少な過ぎないリアクションと抵抗でテクニック解説の進行をサポートしてくれます。

おわりに
一見簡単そうで実は難しい受け手の役割。
それは柔術道場のクラスだけではなく教則動画の制作においても同様です。
BJJ LABは、講師・受け手のみなさんをはじめとして、多くの方のサポートがあり、2025年も20本の教則動画をリリースすることができました。
この場をお借りしまして御礼申し上げます。
来年も観やすく、クオリティの高いコンテンツを提供するべく、鋭意制作を進めて参ります。

