柔術ジムの移籍はあり?ジムを変える理由や注意点について解説

ブラジリアン柔術を続けていると、環境の変化や自身の目標の変化によって、現在のジムが自分に合っているのか考えることがあるかもしれません。

その結果、ジムの移籍を考えたことがあるという方も少なくないのではないでしょうか。

しかし、移籍にはさまざまな要素が絡み合い、慎重な判断が求められます。

本記事では、環境の変化や目標の変化による柔術ジムの移籍を実際に何度も経験してきた私が柔術ジムの移籍について解説します。

最初に柔術ジムの「所属」と「移籍」の意義について説明し、その後に移籍を検討する際のポイント、そして移籍後に大切にすべきことをまとめました。

柔術ジムの移籍をご検討の方は是非参考にされてください。

筆者紹介:楢山吉隆

ブログ『柔術旅 〜BJJ JOURNEY〜』運営者。21歳のときに地元福井のブラジリアン柔術サークルで柔術を始める。その後は国内外を転々しながら各地の柔術・総合格闘技ジムに所属し練習を重ねる。足関節の一つ「ストレートフットロック」を得意とし、第9回全日本ノーギ柔術選手権では4試合中3試合でフットロックによる一本勝ちを収めアドバンスライトフェザー級を優勝。その後も継続的に大会出場しながら足関節を武器に勝利を重ねる。

柔術ジムにおける「所属」と「移籍」とは?

最初に、柔術ジムの「移籍」があることは、つまり「所属」の概念が前提として存在するということです。

ここで重要なのは、塾やフィットネスジムとは異なり、柔術ジムの移籍は「転校」に近い性質を持つということです。

つまり「所属の変更」が起こるということです。

柔術ジムに所属することの2つの意義

柔術ジムに所属することには、主に以下の二つの意義があります。

柔術ジムに所属することの2つの意義

  1. 帯認定
  2. 試合登録

柔術ジムに所属することの意義①:帯認定

ブラジリアン柔術では、昇帯のためには特定のジムに所属し、その指導者のもとで一定の技術を学び、経験を積むことが一般的です。

柔道では地区の連盟が昇段試験を行いますが、ブラジリアン柔術では各ジムの指導者が帯の認定を行うため、通常は一つのジムで継続して練習することが前提となります。

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柔術ジムに所属することの意義②:試合登録

試合に出場する際、多くの場合は所属ジムの名前で登録します。

試合ごとに異なるジム名で登録するのはあまり望ましくなく、一貫した所属を持つことが基本です。

柔術ジムの掛け持ちについて

一方で、練習日時や場所の都合や練習する種目の違い(例:片方のジムでMMAを練習するなど)を理由に、複数のジムに所属(掛け持ち)するケースもあります。

ただし、この場合も「どのジムで帯認定を受けるのか」「どのジムの名義で試合に出るのか」は明確にしておく必要があります。

試合ごとに所属ジムを変更することは推奨されません。

私自身、2つの道場を掛け持ちしていたことがありましたが、試合に出るときの所属は一つのジムに統一していました。

なお、掛け持ち先のジムにはすでに別の所属ジムがあること、どのような理由で掛け持ちしたいかを伝えていたので理解は得られました。

所属先、掛け持ち先それぞれのジムに、所属をどうするか、どのような理由で掛け持ちをするのかを伝えておくと安心です。

柔術ジムの移籍が意味すること

ジムの移籍とは、現在所属しているジムから別のジムへ活動の拠点を移すことです。

また、前述の通り「所属の変更」という大きな意味があります。

これは、単なる練習場所の変更だけでなく、当然、指導者や練習仲間、トレーニング環境の変化を伴います。

そのため、移籍は自身の柔術ライフに大きな影響を及ぼす重要な決断となると心得ましょう。

柔術ジム移籍はしても良い

柔術は趣味の一つでしかない

柔術ジムの移籍が今後の柔術ライフに大きな影響を及ぼすと言っても、多くの人にとって柔術は日常生活の中の趣味やリフレッシュの手段です。

そのため、ストレスなく、自分が楽しめる環境を選ぶことは非常に重要です。

もし現在のジムが自分に合わないと感じるのであれば、移籍を検討することは自然な流れと言えます。

自分に合ったジムを選んでこそ柔術は楽しい

柔術ジムごとに指導方針や練習スタイル、雰囲気は異なります。

自分の目的や性格に合ったジムを選ぶことで、柔術の練習がより充実したものになります。

適切な環境で練習を続けることが、長期的なモチベーション維持にも繋がります。

私もその時々のニーズにより所属先を変えてきましたが、ジムの理解が得られれば問題のないことです。

実際、自分の取り組みたいように取り組んだ方が練習の充実感は増すので、柔術を楽しむために環境を選ぶことはとても大事です。

柔術ジムを移籍する主な理由

スキルアップを求めて

現在のジムでの練習に物足りなさを感じ、更なる技術向上を目指して移籍を考える人もいます。

自分の柔術スタイルに合ったジムや、指導が熱心なジム、競技志向の強いジムへの移籍は、スキルアップに繋がります。

試合や自身の目標に合わせて

試合に出る場合や特定の目標を持っている場合、その目標に合った指導やサポートを提供しているジムへの移籍を検討することがあります。

自分の目的に合わせ、より実戦的なスパーリングが多いジムや、技術指導に力を入れているジムなど、それぞれの特徴を考慮しながら移籍を検討するとよいでしょう。

指導スタイルや練習環境の不一致

指導者の教え方や練習の進め方が自分に合わないと感じる場合、他のジムでの練習を検討することがあります。

また、練習時間や施設の設備など、物理的な環境が自分のニーズに合わない場合も、移籍の理由となりえます。

人間関係やライフスタイルの変化

ジム内での人間関係のトラブルや、引っ越し、仕事の都合など、ライフスタイルの変化によって現在のジムに通い続けることが難しくなる場合もあります。

移籍の理由として一番多いのはこれらの理由ではないでしょうか。

これらの状況では、新しいジムでの練習を検討することは必然と言えます。

柔術ジム移籍の前に考えるべきこと

現在のジムでは解決できないのか考える

移籍を考える前に、現在のジムで抱えている問題が解決可能かどうかを一旦考えることが重要です。

指導者や仲間とコミュニケーションを取り、問題点を共有することで、解決の糸口が見つかるかもしれません。

急いで移籍を決断する前に、現状の改善策を模索することをお勧めします。

新しいジムを選ぶ際の基準を明確にする

移籍を決断した場合、新しいジムを選ぶ際の基準を明確にすることが大切です。

自分の目標や希望する練習スタイル、通いやすさ、費用など、優先順位を整理し、自分に最適なジムを選びましょう。

柔術ジム移籍の際の注意点

帯の昇格ルールの変更に対応できるか

前述の通り、ブラジリアン柔術の場合は各ジムの指導者が帯の認定を行います。

つまり、各道場によって帯の昇格ルールはまったく異なります。

そのため、移籍後に帯が上がりにくくなることや、反対に上がりやすくなることもあります。

例えば試合実績を重視するジムでは、試合で優秀な成績を出せば当然昇格しやすいです。

しかし、それ以外の点で評価がされないため、なかなか昇格できない人もいます。

反対に、試合でいくら優秀な成績を出しても、道場が定める独自のルールやテストで帯がなかなか上がらない人も見てきました。

このように、道場によって帯の昇格ルールは変わるので、もう少しで昇帯と思っていても移籍後になかなか帯が上がらないということが往々にして起こります。

実際、私もその経験があります。

私はブラジリアン柔術を始めて3ヶ月目に初めて試合に出て準優勝することができ、ストライプを2本もらうことができました。

先生にもすぐ青帯になれそうだねと言われましたが、その後道場を移籍することが重なり、実際に青帯になるまでには1年8ヶ月かかりました。

これは帯の昇格ルールの違いや、過去の実績などが知られていないからこそ起こり得ます。

帯の昇格を意識している人は、移籍の際最も注意して考慮すべき点です。

移籍を伝えるタイミングと方法

移籍の意思を伝える際は、適切なタイミングと方法を選ぶことが重要です。

指導者やジムのスタッフに対して、誠実に理由を伝えることが望ましいでしょう。

特に長年お世話になったジムの場合、急に姿を消すのではなく、直接話をすることで円満な関係を保つことができます。

実際私も道場の代表の先生には直接話し、グループの代表にも感謝の意と離れる理由を伝えました。

おかけで移籍後も、そこまで気まずさを感じることなく過ごせています。

また、移籍を考えていることを事前に相談するのも一つの方法です。

指導者が理解を示してくれることもあれば、問題の解決策を提示してくれる場合もあります。

移籍を決断した場合でも、感謝の意を示すことで円満な別れとなります。

新しい環境での礼儀とマナー

新しいジムに移籍した際は、まずそのジムのルールや文化を理解することが大切です。

柔術ジムごとに指導スタイルやマナーが異なるため、適応する姿勢を持ちましょう。

また、既存のメンバーや指導者に対して敬意を持ち、自己紹介を行うことでスムーズに馴染むことができます。

特にスパーリングや技術練習の際には、過度な力を使わず、相手に敬意を払うことが求められます。

最初の印象は大事なので、様子を見つつ相手が嫌がるようなことは避けましょう。

柔術ジム移籍後に大切にすべきこと

新しいジムでの人間関係構築

移籍後は、新しいジムのメンバーとの関係を築くことが重要です。

最初は遠慮しがちになるかもしれませんが、積極的にコミュニケーションを取り、練習に真摯に取り組むことで、自然と仲間として受け入れられるでしょう。

また、移籍前のジムの話を過度にすることは避けた方が無難です。

過去のジムを批判するような発言は、新しい環境での印象を悪くする可能性があります。

過去のジムへの執着やネガティブな感情がある場合はそれを出さず、前向きな姿勢で新しい環境に順応することを心掛けましょう。

ちなみに個人的におすすめなのは、自ら他のジムメイトを誘って打ち込むを受けてもらうことです。

打ち込みを通じてコミュニケーションを取ることで会話が生まれ、関係性が近づきます。

私はかなりの人見知りで自分から話しかけることができない性格ですが、まったく知り合いがいないジムに移籍したときは、話したことがない人を見つけ打ち込みの受け手をお願いしていました。

打ち込みという大義名分があれば、少し話しかけやすくなります。

実際、2週間ほど経ってほとんどの会員に打ち込みの受けを頼んだ頃には、ジムにかなり馴染んでいました。

移籍を考えている人は参考にされてください。

自分の目標を再確認する

移籍後は、自分がなぜこのジムを選んだのかを再確認することが大切です。

スキルアップ、試合への挑戦、練習環境の向上など、移籍の理由を改めて明確にし、目標を見失わないようにしましょう。

また、新しい環境に慣れるまでには時間がかかることもありますが、焦らず、自分のペースで柔術を楽しむことが大切です。

柔術ジム移籍を前向きなステップに

柔術ジムの移籍はネガティブなものではなく、自分の成長や環境の変化に応じた自然な選択肢の一つです。

自分に合った環境で練習を続けることが、柔術の楽しさを最大限に引き出す要素となります。

また、移籍を決断する際は、慎重に考えた上で、円満に進めることが理想です。

移籍後も新しい環境での礼儀やマナーを守り、前向きな姿勢で柔術に取り組みましょう。

最終的には、自分が楽しく充実した柔術ライフを送ることが最も大切です。

移籍を通じて新たな学びや出会いを得ることができるかもしれません。

柔術を長く続けるためにも、自分に合った最適な環境を見つけましょう。