- 足関節を使い始めたいけどどうやって勉強したら良いんだろう……。
- 茶帯になったけど足関節がわからない……。
- 試合でより優位に立てるようなテクニックを知りたい……。
今回はそんな悩みを解決できる教則、『柔術のための足関節大全』をご紹介します。
この記事を読めば、『柔術のための足関節大全』がどんな教則なのか、なぜこの教則で上記の悩みが解決できるのかがわかります。
現在茶帯で、試合での一本勝ちは足関節が一番多い私がレビューをさせていただきます。
まずは『柔術のための足関節大全』の構成や概要を説明し、後半で実際に教則のテクニックを使った感想などをお伝えします。
本作にはフットロック、膝十字、トーホールドの3つの足関節技が収録されていますが、この記事ではメインテーマであるフットロックに絞ってレビューします。
ブログ『柔術旅 〜BJJ JOURNEY〜』運営者。21歳のときに地元福井のブラジリアン柔術サークルで柔術を始める。その後は国内外を転々しながら各地の柔術・総合格闘技ジムに所属し練習を重ねる。足関節の一つ「ストレートフットロック」を得意とし、第9回全日本ノーギ柔術選手権では4試合中3試合でフットロックによる一本勝ちを収めアドバンスライトフェザー級を優勝。その後も継続的に大会出場しながら足関節を武器に勝利を重ねる。
教則『柔術のための足関節大全』とは?
■ 収録テクニック
- ストレートフットロックの抱え方と足の組み方
- 座っている相手に対する極め方
- 立っている相手に対する極め方
- 走って逃げる相手に対するバックテイク
- 逃げる相手に対するトーホールド
- 膝十字の極め方
- アンダーフックに切り替えるための袋取り
- 袋取りからのスイープ
- アンダーフックからの膝十字
- 袖を持てた場合の膝十字
- 膝十字のディフェンスに対するリバースチョイバー
- フットロックで相手に蹴られた場合の対処
- フットロックで相手に襟を掴まれた場合の対処
- アウトロ(講師メッセージ)
- リバーストーホールド
『柔術のための足関節大全』は、日本屈指のレッグロッカーでありRIZINファイターとしても知られる須藤拓真選手による教則です。
タイトルの通り「柔術のための足関節」に焦点を当てており、ストレートフットロックを起点としたさまざまなテクニックが収録されています。
須藤拓真選手について
■ 須藤 拓真
生年月日:2000年5月28日
出身地:神奈川県
戦績・タイトル:
- Level-G PRO GRAPPLING ライト級 初代王者
- 2021年全日本ノーギ柔術選手権アダルトエキスパートフェザー級 優勝
- 2023年JBJJF 全日本ブラジリアン柔術選手権紫帯フェザー級 優勝
- 2024年JBJJF 全日本ブラジリアン柔術オープントーナメント茶帯フェザー級 優勝
日本屈指のレッグロッカーとして知られ、柔術・グラップリング・MMAを問わず、狙い澄ましたタイミングで仕留める足関節で一本勝ちを量産する。
2023年6月に開催されたLevel-G PRO GRAPPLINGの初代ライト級王座決定トーナメントでは、全試合一本勝ちで優勝し初代王者に輝く。
柔術では、2023年の全日本ブラジリアン選手権(紫帯)において4戦すべてをフットロックで一本勝ちし優勝。茶帯昇格後の全日本ブラジリアン柔術オープントーナメントではフットロックに加えて、解禁された膝十字固めで劇的な大逆転で優勝をおさめた。
教則の構成
『柔術のための足関節大全』には、前述の通り計14のテクニックが収録されています。
それぞれのテクニックの関係性を図解したものが下の画像です。
このように、大きく分けると
- 相手が座っているときの展開
- 相手が立っているときの展開
の2つの構成にわけることができ、特に②相手が立っているときの展開については細かいリカバリーテクニックが収録されているのがわかります。
総合格闘技、グラップリングの足関節に特化した教則は過去にもありましたが、柔術ルールを想定した足関節特化教則は業界初でしょう。
教則の概要
試合での“勝ち”に直結する実戦的足関節テクニック集
須藤選手の言葉を借りると、足関節を使えるようになると下記3つのメリットがあります。
- 大きなトーナメントでも体力温存ができる。
- 無差別級で自分より大きい相手にも勝ちやすくなる。
- パスなどを経由せずとも極められるので一発逆転に繋げやすい。
『柔術のための足関節大全』は、この考えに基づいた「試合で勝つことを目的とした足関節テクニック集」です。
実際に須藤選手が柔術の試合を通して使ってきたテクニックであり、厳選されたもののみが収められています。
柔術の試合で起こり得る足関節の展開を網羅
前述の通り、『柔術のための足関節大全』には14のテクニックが収録されており、その中で柔術で使えるものは13テクニックあります。
フットロックを起点とし、そこから想定される相手のポジションやリアクションに対するテクニックが網羅されている教則です。
特に立っている相手のリアクションに対する展開は多岐に渡り、このことから須藤選手がフットロックのセットポジションをガードとして成立させていることがわかります。
実際に教則内で「フットロックガード」という言葉が使われるように、明確に足関節をゴールとしたガードシステムを学べる教則は他にはないでしょう。
フットロックガードを起点としたテクニックのみが収録されているため、フットロックガードへエントリーするためのテクニックは収録されていません。あくまで「極め」と「展開」に焦点を当てた教則と言えます。
世界王者のフットロックを間接的に学べる!
『柔術のための足関節大全』は、一つ目のテクニックに「ストレートフットロックの抱え方と足の組み方」が収録されています。
セットアップで意識が薄れがちな足の組み方や、外足と内足の役割、足の抱え方まで細かく簡潔に説明されており、足関節初心者でも再現しやすいです。
そして特筆すべきは、ストレートフットロックを武器に2022年の世界王者に輝いたアイザック・ドーダーライン選手のエッセンスが入っている点です。
私もアイザックドーダーライン選手のセミナーに参加したことがありますが、そのとき説明のあったディテールが忠実に再現されているのがわかりました。
つまり、『柔術のための足関節大全』は、世界一のフットロックを日本一のレッグロッカーが解説してくれている教則とも言えます。
白帯から使えるテクニックも収録
足関節の教則と聞くと、白〜紫帯でも使えるテクニックがあるかどうかが気になるところでしょう。
結論を言えば、半数以上のテクニックは白〜紫帯でも使えるテクニックになります。
白〜紫帯で使えるテクニックが7つ、茶、黒から使えるテクニックが6つ、その他が2つです。
これを多いと取るか少ないと取るかは人それぞれかもしれませんが、今後茶、黒帯になると足関節を勉強することになるため、先に勉強しておきたい人、サブミッションへの理解を深めたい人にもおすすめの教則です。
もちろん前述の通りディテールが細かく説明されており、初心者でも再現できる内容となっているため、白〜紫帯のテクニックのみでも充分価値があると言えます。
“足関十段”今成正和選手を極めた足関節も収録
須藤選手といえば、グラップリングイベント「Level-G」において、憧れの選手でもあった“足関十段”今成正和選手の足を極めて劇的な勝利を収めたのが記憶に新しいです。
その試合で今成選手を極めた足関節、「リバーストーホールド」もこの教則に収録されています。
『柔術のための足関節』という主旨に合わないボーナストラック的なテクニックですが、この須藤選手独自のサブミッションが解説されているのはこの教則のみです。
https://twitter.com/sudoh0000/status/1802519744639369630
須藤選手自身が「膝上を足でロックするという足関節の常識からは外れた技」と評する斬新なサブミッションなので、その仕組みは一見の価値ありです。
実際に使ってみた感想
続いて『柔術のための足関節大全』のテクニックを実際に使ってみた感想です。
足関節からの選択肢が一気に増えた
私の場合は「フットロック=ゴール」という感覚で使ってきたため、セットして極められなかった場合、足関節にこだわらず早い段階で他の展開に行くことが多かったです。
ですが、前述の通りこの教則では「フットロックを起点とした」展開が細かく説明されています。
そのため、フットロックを一度で極められなかったその先の選択肢が一気に増え、より「足関節で一本を取る」スタイルを構築するきっかけになりました。
確実に「極めれる」フットロックに昇華
ストレートフットロックは極め方が多岐に渡る技で、人によって極め方、極めるポイントが大きく異なります。
私の場合は相手の足の甲の靭帯を極めるストレートフットロックでしたが、人によっては痛みを感じにくい部位であるため、試合で極めきれなかったことが多々ありました。
しかし、須藤選手のフットロックは「我慢すると関節が壊れる」感覚を覚える強烈なもので、実際に練習仲間とかけ合うとその破壊力がわかります。
私自身もっと「極めれる」フットロックに昇華させたいと思っていたので、今後は須藤式フットロックを磨いていきたいと思いました。
立っている相手を足関節で追い込める新感覚
フットロックを起点としたテクニックが網羅されており、特に立っている相手への対応が多岐に渡るというのは前述の通りです。
しかし、須藤選手のように立っている相手に対しフットロックから展開を作れる人は実際多くないのではないでしょうか?
私自身、立っている相手には逃げられることも多く、そこで足関節へのルートが断たれがちでした。
しかし、収録されているテクニックを使うことでバックやスイープ、一本につなげられるようになり、一気にゲーム性が広がりました。
こんな人におすすめ
『柔術のための足関節大全』のテクニックを実際に使った上で、下記のような人におすすめの教則と言えます。
今後足関節を使っていきたい人
そもそも極め方がわからない、なかなか極めきれないという人におすすめです。
なぜなら「フットロック」、「膝十時」など、細かいディテールを押さえていないと極められない技について詳細な説明がされているからです。
特に須藤選手のインストラクションは「このように、そのように」などの指示語がなく、かなり具体的でイメージしやすいです。
そのため今まで足関節を使ってこなかった人でも理解しやすく、上級者のみならず初心者にとっても価値を感じられる教則であると言えるでしょう。
茶帯になったばかりの人
https://twitter.com/y_narayama/status/1818431346827469244
私自身がそうですが、茶帯になったばかりの人にもおすすめです。
茶帯になると、紫帯までとはルールが一気に変わり、「膝十字」や「トーホールド」、「内側に回転するフットロック」が使えるようになります。
この教則には極め方から、それらのテクニックを用いた展開が多く収録されているので、茶帯で解禁される足関節への理解を深めるのに最適です。
茶帯になったら買っておくべき教則の一つであると言えるでしょう。
試合で勝ちたい人
ここまで体系的に組み立てられたレッグロックシステムを使う柔術家は須藤選手以外にはいません。
つまり、使用する人がいない分、対応できる人もいないと言えます。
実際それを証明するように、須藤選手は昨年の全日本ブラジリアン選手権や、今年の全日本ブラジリアン柔術オープントーナメントにおいて、その独自のレッグロックシステムを用いて一本勝ちを重ね、いずれも優勝しています。
独自性が強く対応できる人が少ない今、試合に勝ちたい人ほど勉強しておいて損はない教則と言えます。
まとめ
今回は須藤拓真選手の教則、『柔術のための足関節大全』をご紹介しました。
この教則のテクニックを身につけることができれば、足関節への理解が深まり、試合でも勝ちやすくなるでしょう。
ぜひ須藤選手の足関節テクニックを取り入れて、柔術のゲーム性を広げてみてください!