【徹底解説】青木真也『肩固め』|極まるサブミッションへ

「形には入れるけど極められない技ランキング」を作ったら確実に上位くる、肩固め。

今回は肩固めの名手・青木真也選手の教則動画について解説します。

これを見て、肩固めを「極められる強力な技」に昇華しましょう!

この記事がおすすめの方

・肩固めの形に入るが極められない方

・試合で使えるサブミッションを身に付けたい方

・サイド、マウント、ニーオン、ハーフのコントロールを身に付けたい方

筆者紹介:安藤慎一朗
ブラジリアン柔術青帯。noteにて「柔術哲学」 のブログを書いています。フローチャートを用いた教則の解説レビュー記事を10本以上書きました。柔術も文章を書くことも好きです。

講師紹介

青木真也

早稲田大学進学後に柔術を始め(中井祐樹氏より黒帯を授与)、在学中に総合格闘技家としてプロデビュー。

2000年代はDEEP、修斗、PRIDE、DREAMで国内トップ選手となり、2010年以降は海外に活躍の場を広げ、現在はONE Championshipを主戦場とする。第2,6代ONE世界ライト級王者。

メジャー格闘技団体ONEにて、2018年10月6日イブ・タン戦を肩固めにて一本勝ち。2016年にタイトルマッチでフォラヤン選手に負けて王座陥落した2年4か月後、2019年3月31日に同選手に肩固め一本勝ちで王座を取り戻した。

↓青木真也選手のご本人による紹介記事

内容紹介 (フローチャート)

  1. 00:00肩固めの極め方
  2. 06:35 ハーフガードからの肩固め
  3. 10:58 サイドポジションからの肩固め
  4. 15:49 マウントポジションからの肩固め
  5. 22:42 抑えながらのプレッシャーのかけ方
  6. 27:43 点で極める肩固め

※時間は教則動画のタイムレコード

内容は約30分と短く、肩固めのエッセンスがコンパクトにまとまっています。

構成は、3つに分かれています。

チャプター1:極めのポイント
チャプター2~5:各ポジションからの極め方
チャプター6:点で極める肩固め

実はチャプター1の6分だけでも買う価値があります。指の関節に至るまでこだわった解説を見れば、肩固めの理解度が一気に上がります。

チャプター2-5の各ポジションのコントロールはいわば、肩固めのセットアップです。ハーフやサイドの、「脇差し」と「枕(クロスフェイス)」の詳細、ニーオンやマウントのコントロールは必見です。

青木選手の教則はベーシックな技術の解像度が高いことが特徴的です。本教則では特別な動きや見たこともないようなテクニックはありません。基本的な動きのディテールを説明しています。

青木選手は非常に言語化が巧みで、理論的な説明がとてもわかりやすいです。指の関節まで意識したクラッチの握り方、体重の掛け方、身体の位置、技の概念など、突き詰められた内容が見る人の技を一段階上のレベルに引き上げます。

また、グラップリング(ノーギ)はやったことがなく、柔術だけやっているの方にも本教則はオススメです。道着の影響で実はルーズになっている手順があるかもしれないからです。そのため、本教則のノーギ特有のタイトなテクニックが勉強になります。道着なしの寝技も追求してきた青木選手だからこそのタイトな抑え込みや肩固めのテクニックは必見です。

本編7:30より

肩固めのコンセプト・メリット(なぜ肩固めなのか)

コンセプト

教則を読んで自分が感じた肩固めのコンセプトは

①「腕で取る三角絞め」
②「抑え込むサブミッション」

の2つです。

①「腕で取る三角絞め」

肩固めの英語表記は「Arm Triangle Choke」です。直訳すると、腕三角絞めです。通常の脚で組む三角絞めと原理は同じで、相手の首と腕が入った「輪っか」を小さくすることです。教則では「輪っか」を小さくするためのコツを数多く紹介しています。

文字では伝わりづらいのでぜひ教則動画でご確認ください。

<紹介されている内容>

  • 肘の位置
  • クラッチの組み方、組む位置
  • 体の位置取り
  • 頭の位置
  • プレッシャーのかけ方と方向
  • 輪っかが広がってしまうダメな例

強力なクラッチの組み方(細部がすごい)

本編3:56より

位置取り

従来の肩固め(力がないと極まらない)と異なる位置取り。

本編0:36より

②「抑え込むサブミッション」

三角絞めは脚の力を使って絞めるので強力ですが、肩固めは腕を使うので少し出力が落ちます。一方で、三角絞めと異なり、肩固めはトップ(上)ポジションから仕掛けやすいというメリットがあります。

体重を使ってプレッシャーをかけるため、ポジションを失わずに相手を抑え込んだまま仕掛けられるのは大きなメリットです。

補足:ボトム(下)ポジションからの肩固め

下からの肩固めも可能ですが相手は体重を使って潰せるので難しいです。腕力があればクローズドなどで下から肩固めを取れることもあります。腕十字やキムラロック、十字絞め、袖車なども下からより上から取った方が基本的に強いです。(クローズドの中で上から仕掛けるのは効果的ではないです)

肩固めの特徴(メリット)

  • MMAの試合の決まり手にもなることが多い
  • トップから仕掛けてもポジションを失わない。
  • ハーフ、サイド、マウントなど色んな場面で使える。
  • 抑え込みとしても有効で、エスケープしづらく、相手のスタミナを削れる
  • ノーギでも道着でも使える

肩固めがオススメの方

  • ハーフパスが得意な方
  • トップを取れる、サイドを取れるな方
  • プレッシャー系の抑え込みやパスが得意な方
  • MMA競技者:ポジションを失わず、抑え込んで相手を削りトップを維持できる

肩固めはだれでも使える技です。手が長い方が組みやすいですが、手が短いと入ったらタイトで極まりやすく、腕の長さを問わず有効です。重量級のフィジカルが強い方が向いている技ではあるものの、フィジカルの弱い人でもしっかりポイントを押さえて体重を使えば極まるため、体格に関わらず習得する価値があります。

相性のいいテクニック・合わせて覚えたい技

<教則内で紹介されている技>

・ハーフガードパス、トライポッドパス
→ハーフから肩固めをとってパスにつなげられる

本編8:58より

・サイド、マウント、ニーオンのコントロール
→これらのポジションから肩固めにエントリーできる

本編18:14より

<教則内では紹介されていないが覚えたい技>

  • 袖車絞め(エゼキエルチョーク)
  • バックテイク

→両方とも相手が背中を向けてエスケープした時に狙える

肩固めの誤解と考察

「肩固めは、フィジカルの強い人がタップを取れる技」というイメージを持つ人が多いと思います。おそらく、肩固めをかけられたときの苦しい記憶や、自分が肩固めをしかけたときに力いっぱいやっても極められなかった経験によってそのようなイメージを持ってしまうのではないでしょうか。

「もっと力があれば極まるのに」「力がある人しか極められないよ」と感じた人も多いでしょう。

しかし個人的には、肩固めこそ実はテクニカルな技だと思います。力任せにやっても一本は取れません。形とテクニックが大事です。

実際、私自身がセミナーで青木選手の肩固めを直接受けたときは力任せには感じなくて全然苦しくなかったのに、落ちそうになりました。ポイントを押さえて形をしっかり作れば腕力が強くなくても一本が取れる技です。

この教則を見ることで、肩固めの誤解が解けると思います。

実際に使ってみた感想

本教則で練習をしてから格段に肩固めで一本を取れるようになりました。確実に精度が上がりました。

「肩固めの形には入るのにタップが取れないんだよなぁ」という方はぜひ本教則を見直して手順をひとつひとつ確認しましょう。一本が取れるようになります。

個人的に好きなテクニック

チャプター1:肩固めの極め方

本編1:49より

プレッシャーのかけ方

なんとなく相手の首の下に手を敷くだけの枕を使っていましたが、手や肩の位置、プレッシャーのかけ方、プレッシャーの方向を意識するとコントロールの精度が全く違います。主導権を取れるようになり、膠着状態から展開を作れるようになりました。

まとめ

知らない技を学ぶことも大事ですが、すでに知っている技の精度を上げることも同じくらい大事です。肩固めはメジャーな技でも高い精度で使える人は多くありません。これを武器にしてライバルに差を付けてください。

最後にもう一度おすすめの方をご紹介します。

  • 肩固めが極められない方
  • サイドやマウントからの武器が欲しい方
  • ポジションを失わずにリスクを少なく攻めたい方・ハーフガードへののプレッシャーを身に付けたい方

是非見てみてください。オススメです!

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