点と点をつなげるために必要なこと

Apple社の創業者スティーブ・ジョブズが遺した言葉に「点と点がつながる(connecting the dots)」というものがあります。

2005年のスタンフォード大学の卒業式のスピーチで使われ、広く知られるようになりました。

「人生で起こる出来事や経験は、その時は意味がわからなくても、後から振り返ったときにはすべてが繋がって意味を成す」

という意味です。

ジョブズは家庭の事情で大学を中退したものの、モグリで大学の授業を受講していました。

その一つがカリグラフィー(書体)の授業で、のちにMacintoshの美しいタイポグラフィーを生み出す原点になったと語っています。

大学中退という逆境にもがいた中での出会いが大きな功績に繋がったというわけです。

ぜひフルバージョンで見てみてください。

あるとき気づくと点と点はつながっている

柔術を始めてちょうど2年が経ちました。

ジョブズほどの大きなことは成し遂げていませんが、点と点がつながる場面に遭遇しています。

1年前の僕は無名の一会員で、外に繋がりは全くありませんでした。

そんな僕が今では

  • トップ選手の教則動画の制作に関わる
  • ジムの経営者から運営の相談を受ける
  • 「延藤さんの記事を読んで、試合に出ようと思いました」と声をかけてもらう。
  • 全国の柔術愛好家が読むコンテンツを作る

など、多岐にわたって柔術に関わっています。

なぜ1年でここまで深く柔術界に貢献できるようになったのか?

僕に訪れたconnecting the dotsについてお話しします。

柔術を始めてからの歩み

  • 2022年3月、近所のジムで柔術を始める
  • 2022年9月、初めて試合に出る。エントリーのノウハウをnoteにまとめる
  • 2023年2月、青帯をいただく。全日本マスターのスタッフ業務に参加。連盟の人とつながる
  • 3月、グラップリングの展望を分析したnote記事をリリース。柔術関係者にシェアされて、一気に繋がりが増える。その2週間後にBJJ LAB代表・竹浦さんと初めて会う。同月、記事の題材となった高橋サブミッションさんとお会いする
  • 4月、練習会に参加。帰りに竹浦さんと下前さんと食事。BJJ LABの相談を受けて、BJJ LABのマーケ担当になる。
  • 5月、ジム仲間がキックジムを立ち上げる際にSEO施策をサポート。順調に増える。ウェブ集客のノウハウをXで投稿すると、ジム関係者から相談を受けるようになる
  • 7月、白帯時代から教則を見ていた橋本知之さんとお会いする
  • 8月、この頃から試合会場や練習会に行くたびに「note見てます」と声をかけてもらうようになる。教則の撮影で青木真也さんとお会いする

といった感じで、毎月すごいイベントが発生しています。

SNSのフォロワーが増え、柔術ネタについて投稿すると、たくさんの人から反応をいただけるようになりました。

点と点をつなげるには?

振り返ると竹浦さんとの出会いが一番大きかったのですが、実はいま僕がBJJ LABでやっていることはBJJ LABに入る前から立案・実行していたことです。

「業界を盛り上げたい!」という人は多いと思いますが、具体的に何をすればいいかわからないという方も多いはず。

ぜひ僕のやり方を参考にしてみてください。

自分と同じ悩みを持つ人への情報提供

初めて試合に出た時は非加盟のジムの所属だったため、一から十まで自分で調べました。

自分と同じ悩みを持つ人・試合に出たいが躊躇している人に向けて情報をまとめてブログ記事を作りました。

今でも毎月600PVほどあります。「柔術_試合_初めて」で検索すると1~3位、さらに僕自身の初試合のレポ記事も同じ順位にいるので、広く読まれています。

この記事には「大会の探し方」について説明しているものの、リアルタイムで探すのはなかなか大変です。

なので、BJJ LABに参加した後に試合一覧を作りました。毎月2回更新しています。

自分の試合を探している人だけではなく、ジム経営者のスケジューリングにも役立っているはずです。

業界の人へ提言するブログ

昨年3月、日本のグラップリングの展望について分析した記事を書きました。

高橋サブミッションさんの動画を見て「このテーマならグラップリング初心者の僕でも書ける」と思いました。

この記事は柔術競技者ではなく、ジム経営者に向けて書いたものです。

リリースから1年経ってますますこの通りに進みそうだなと思っています。

「Bグラ協会」発足

「柔術、グラップリングを広めたい!!!」

どうすればいいだろう? と思った僕は、さっそく元生徒のAくんを捕まえて壁打ちをします。

「柔術をもっと広めたい。これから業界にインパクトのある仕事を残す」と宣言し、グラップリング人口を増やす5ヵ年計画を策定しました。

おそらく多くの人は「まだ歴1年の自分が柔術界を盛り上げるなんて、おこがましい」とか思ってしまうんじゃないでしょうか?

柔術のスキルを身につけるには何年もかかります。

そもそもの話、競技レベルを以って説得力を上げるという方法には無理があります。

逆にゴールから考えてみましょう。黒帯だったら他者からの協力を得やすいか? というと、全くそんなことはありません。

繰り返しますが、僕の目的は「柔術の競技人口を増やし、継続する人を増やす」です。

長年つちかったウェブマーケティングのスキルを使えば、この目的を達成できる自信がありました。

さっそく僕は grappling.jpというドメインを取得して、「ビギナーグラップリング協会」という謎の団体を立ち上げました。

通称「Bグラ」。

ビギナーと付けたのはエクスキューズでもありますが。

「協会とは言ってもあくまで初心者向けのグループだから、厳しいことは言わんでくれよ」といったふうに。

会長は僕。副会長はAくん。当時は協力をお願いできる仲間もいなかった。

Aくんに至っては柔術未経験者。ビギナーですらなかったので、その月から柔術を始めてもらうことにしました笑

とりあえず今できることをやるしかない

記事計画を立てて、サイトをリリース。さらに実体を出すためにパンツスポンサーもやりました。

「行動力がある人」はこういうふうに物事を進めます。壁に当たるまで目を瞑って走ってるだけだったりします

発信すれば届く

Bグラ協会を発足したのが2/7。さっそくTwitterにその興奮を投稿しました。

翌日、竹浦正起さんからnoteをフォローいただく。当時は接点がなかったので、驚きました。

付き合いのある学習塾の経営者(國立拓治先生)から「教え子が港区で柔術を教えているんです」と聞いていて、その後カルペディエムの竹浦さんということは確認していました。

さりげなさに痺れます

どこでつながるかはわかりません。

僕から國立先生に紹介を依頼したわけではなく、國立先生が僕の熱狂ぶりを見て「本気だな。紹介してあげよう」と絶妙なタイミングで紹介いただき、縁が繋がったというわけです。

Bグラ死すともドメインは死せず

翌月に竹浦さん、下前さんとお会いしてBJJ LABに参加することになりました。

時間はかかりましたが、Bグラで使っていたドメイン(grappling.jp)の配下にBJJ LABのトップページを据えつけることにしました。

マーケティング手法が生きる

「Bグラ協会」は数ヶ月で消滅しましたが、結果的にそこで準備したものがBJJ LABの根幹部分となって生きています。

未完成のままサイトリリースした直後

【延藤版】点と点を結ぶ方法

こうして整理すると、短期間でたくさんの点と点が結ばれています。

こんな感じで進めれば、点と点がつながる確率が上がるはずです。

1. 過去の自分に教えるつもりで

ノウハウの発信には権威・専門性は武器となります。しかし、権威がないと伝わらないかといえば、そうではありません。

大事なことは、悩む人・欲しいと思っている人にきちんと情報を届けることです。

具体的に対象が浮かばないなら「1年前の自分」でいいでしょう。

過去の自分を救う・教えてあげる気持ちで伝えましょう。

たとえばあなたが初めて柔術の試合に出たら、あなたはすでに以前の自分よりは詳しいし、結果的に多くの人より詳しくなっています。

柔術のスキルは未熟でも試合の出方はわかるはず。

何かを発信することに恥じらいは不要です。

2.自分の強みを武器にする

僕が使った武器を例にすると、

・学習塾を経営した経験にもとづいてグラップリングの未来を分析する。

・サイト制作、マーケティングの経験からBJJ LABの新サイトをリニューアルする。

などでした。

誰しも強みはあるはずで、知識・スキルを組み合わせれば価値を生み出すことができます。

たとえば料理が得意な人なら、疲労回復の食事について書けます。フリマアプリが趣味なら、メルカリで安く道着や筋トレグッズを集める方法について発信するでいいでしょう。

何かしら得意・好きなことはあるはずで、そこを武器に切り込んでいくのです。

3.情熱を語る(発信)

しつこく発信していれば必ず誰かに届きます。直接連絡が来たり、誰かを紹介してもらえることもあります。

もし来ないなら自分から連絡すればいいのです。その際に自分がいかに情熱を傾けていて、もっと良くしたいものがあると語れるだけの材料を持っておくとベストです。

いきなり連絡する段階に至っていなければ、繋がりたい人が出している商品を買ってレビューするのも有効です。

商品を出していない場合、コメントをつけて引用RTをするでもいいでしょう。相手が「この人は大丈夫そう」となれば、返信もきやすくなりますし、話を聞いてくれる可能性も高まります。

僕の好きな本に『人を動かす』がありますが、この中で「人に気に入られるには、誠実な関心を寄せる」とあります。

人を動かすには自分の権威の高低よりも、他者に対する実直な行動だったりします。

行動量で点は増やせる

スティーブ・ジョブズの「後から見ると、点と点が繋がっている」という解釈はすごくスマートだなと思います。

勝手なイメージですが、おそらく星座のように一本一本が直線でつながり、形を作っているという。

でも、僕は別の見方もあるのではないかと思います。

端正な直線でなくていい。くにゃくにゃした線でもいい、途切れる線があってもいい。1点に何本の線が伸びていてもいい。

とにかく点をひたすら打つ。一つの点を打ったら、近くに新しい点を打つ。

つながらないならつなげてしまう。

柔術たのしい!柔術界に貢献したい! と思っている人はたくさんいます。

「もっと有名になったら、強くなったら、人脈ができたら・・・」と、そんなことを言っていたら一生実現しません。

今できることをやるんです。手元のペンを握り、紙に点を打つ。あとのことはどうとでもなります。